イケマキの想い

掲載日:2015.11.08

①「現場にいたからこそ」

 私は福祉の仕事に20年間従事してきました。そのうち14年間は板橋区の福祉事務所で勤務し、板橋区役所に入る前は、高齢者施設、障がい者施設、在宅介 護の3つの福祉現場で仕事をしました。生活に困難な人が頼みの綱として訪れる福祉事務所ですが、職員の多くは福祉に関する知識や経験が不足していました。
 民間の福祉サービスでは関われない権限や義務、命の尊厳や人間らしい暮らしの権利を保障する重要な役割を果たすのが行政の福祉です。福祉事務所を根底か ら変えたいと思い、板橋区の採用試験に合格、念願の板橋区福祉事務所に配属されました。
 内部から変えるために、まずは現場を知ることが必要だと感じて毎日、現場へ駆け付けました。そこで感じたものを生かし、提案や変革を試み、現場から事業や制度、政策化の実現もできることを経験しました。ですから現場に 行って話を聞くというのは私の原点そのものです。

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②「福祉について」

 現場のソーシャルワーカーとして制度の壁に何度もぶつかってきたからこそ、「福祉には政治の力が必要だ」との意を強くしています。民主党政権が誕生した ときに、高校授業料無償化や母子加算の復活などが実現し、政権の役割や力はこんなに大きいのかと実感しました。現政権は住民税非課税世帯の高齢者に3万円 を支給するバラマキ政策を進める一方で、子育て世帯臨時特例給付金を廃止するなど、矛盾だらけの社会保障政策を進めており、逆に言えば政権の力でこの国が 危うくなることも事実です。
 安倍首相は1億総活躍社会などと言っていますが、今や非正規で働く人は全体の4割です。そうした状況にもかかわらず、労働者派遣法を改正し、低賃金で不 安定な派遣労働者を拡大させる改悪をしました。現在の行きすぎた新自由主義によって犠牲になるのが弱者という状況は、個人をないがしろにするものであり、 国の将来は決して明るいものにならないでしょう。
 ある人から「国政に社会福祉や社会保障を市民は求めていない」と言われたことがあります。私はこの発言にずっと違和感を持っていましたが、アジア太平洋 ソーシャルワーク世界会議に参加した際に、「人口・経済・政治」の分野で、福祉の果たす役割がとても大きいと再認識しました。テロや紛争の背景には貧困、 格差の問題があります。世界規模で地球温暖化、飢餓や難民の流入・流出が起きていますが、世界のソーシャルワーカーがこうした問題に関与していることを目 の当たりにしました。つまり、生活の部分に触れる案件があれば世界のソーシャルワーカーはどんな分野にも切り込んでいくのです。誰もが区別なく支えながら 生きていく支援を個人レベルで行っています。
 今、日本では助けを求める声をあげることができない人がたくさんいます。このような人を守るのも政治の役割です。1人を見捨てる政治では、1億人に活躍できる場を与えることはできません。

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③「安保法制について」

 多くの国民や大多数の憲法学者、元最高裁判事、そして歴代内閣法制局長官までもが違憲だと指摘したにもかかわらず集団的自衛権の行使を許す安保関連法を 強行採決したことは、戦後70年間、曲がりなりにも維持されてきた平和や安心というこの国の最も大切な基盤を揺るがすものです。安倍内閣は、まさしく憲法 を踏みにじりました。
安倍首相は7月の参議院選挙の結果によっては、憲法改正に踏み出すと宣言していますが、民主主義や立憲主義を軽んじていると言わざるを得ません。国会周 辺をはじめ、全国では多くの国民が安保法制廃案の声をあげていました。自分の意に反する声をなきものとして次は憲法改正だとぶち上げる姿勢は、多様性があ る政治を実現しようと思っていないことを端的に表しています。
また5区管内には自衛隊基地があり、そこには多くの隊員と、そのご家族が暮らしています。自衛隊の海外における活動を広げることへの懸念や不安がまった く払拭されていない中で、隊員やご家族の皆さんは不安を抱えて生活しています。
そうした方々にとって何が大切なのかということを今一度としっかりと考える 必要があると思っています。

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④「闘いにかける意気込み」

私は「居場所と出番がある社会」という言葉が大好きです。少子高齢化、人口減少社会に突入した今、「居場所と出番がある社会」を実現していくには全ての国民を大事にするという国の形が必要です。
これを実現していくには多様性を尊重することが重要です。しかし、現在の政治は多様性を認めないような風潮にあります。私は働いても生活が成り立たない、命が軽んじられる、個人が尊重されずに悔しさや生きづらさを抱えて生活する人をたくさん見てきました。そういう意味では、私が挑戦することは多様な政治参加を成し遂げる闘いでもあります。
今回の「闘い」は安保法制の是非を含めて、都合の悪いことにふたをして横暴な政権運営を続ける安倍政権を許すのか、それとも多様性のある社会を目指し、誰も置いてきぼりにしない政治を実現するのか。生活者、働く人の声、一部の地域の闘いではありません。北海道5区を超えた国民と暴走する安倍政権との闘いです。
私は福祉の仕事を通して、時には権力と闘ってきましたが、今回はまさにその権力の中枢にいる側と真正面からぶつかる闘いです。並大抵のことではありません。しかし、私は希望をもっています。市民1人ひとりの声をつなぎ合わせることができれば、政治は変わることを民主党が政権を取ったときに体験しているからです。私の持っている全てをかけて闘います。
(了)

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