2016年4月 池田まきの政策

掲載日:2015.10.08

(1)TPPや農業について

  • 私はTPPに反対です。北海道の基幹産業はなんといっても農林水産業の一次産業と、それに関連している食品加工産業、そして観光産業です。その根幹を危うくする危険性をもっているのがTPPだと考えております。食の安全、国民皆保険の解体も懸念され、長期的には世界人口の増加、異常気象などにより食料自給率のさらなる低下を招き、食の安全保障が危ぶまれます。
    私は議論の大前提は情報開示だと主張してきました。しかし、政府は必要な資料の提出を拒否し続けています。暫定文書の英文600ページ、附属書を含めて1500ページあるにもかかわらず、日本政府の全体概要はたった97ページ。先日、民進党が政府に求めたフロマン米通商代表との交渉内容の提出も拒否され、これでは十分な審議は出来ません。
  • 農業振興策/①地産地消の販路の推進や確立。とくに石狩管内では、食と観光による都市と農村・漁村との交流を促したいと思います。②後継者・担い手不足解消に向けた教育・研修機会の拡大や新規就農者への支援策を実施し、家族経営が持続可能となる基盤をつくります。

(2)集団的自衛権の行使容認と安保法制

  • 集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法は、他国の戦争に巻き込まれる危険性を高め、自衛隊員の活動範囲や内容の拡大、テロの標的など、むしろ国民の生命や生活、国の安全を脅かすと考えています。日本は戦後確立してきた平和外交や民間交流、民生分野を中心に、諸外国との友好関係を一層すすめ、紛争の解決や未然防止に努力すべきです。
  • 安保法制に関しては、自衛隊員の海外における活動を広げることへの懸念や不安が払拭されていません。千歳市や恵庭市には、自衛隊やご家族が多く暮らしており、その皆さんの気持ちになって考えても安倍政権による安保法制は廃止すべきです。
  • 他国の脅威を理由に日本の軍事的対応能力を強化することは、「現実的」に見えるが、実はそうではありません。
    専守防衛の原則にのっとり、自衛力を整備しつつ、外交により諸外国との友好関係を築くことが、日本の平和につながる道だと考えています。戦後、日本が積み上げてきた「平和日本というブランド」をいったん捨ててしまえば、それを再建することは困難だと思います。

(3)憲法改正の是非

  • 憲法は、基本的人権の尊重、平和主義、主権在民を基本理念とする世界に誇れるものであり、現段階での改正は必要ありません。憲法は不磨の大典ではないが、立憲主義を否定する安部政権のもとでは改正は絶対反対です。
    世論調査の結果は、憲法をないがしろにする安倍政権への危機感が表れていると思います。
  • 私はむしろ、貧困や孤独死がある中で、個人が尊重され幸福を追求する権利(13条)や生存権(25条)、言論表現の自由(21条)などがしっかり守られていないことが問題であり、憲法の理念を実現する政治・政策が重要だと考えています。

(4)少子高齢化・人口減問題

  • 少子化の背景には、貧困の拡大や非正規・低賃金労働の増加など雇用の劣化、仕事と生活の両立が困難な働き方・働かせ方などの問題があります。正規、非正規にかかわらず結婚し家族を持てるよう、非正規労働者の処遇改善、厚生年金・健康保険の適用拡大、児童手当の加算、住宅費の支援、給付型奨学金の創設など、若者や家族向けの給付を拡大し、子育て世帯が無理なく暮らせるような支援策が必要です。
  • 高齢化とともに、年金給付だけでは生活できない低所得高齢者の増加が懸念されます。少ない基礎年金を補う高齢者保障給付を導入すべきです。また、介護が必要な高齢者が増える中、現役世代の介護離職が問題になっており、在宅介護福祉施策や介護休業の充実を早急に進め、介護と就労継続を可能にしていく必要があると考えます。
  • 待機児童問題
    5区管内の待機児童は100人余りと言われていますが、何らかの事情で保育所に預けることを断念した「潜在的待機児童」の存在が想定されます。
    政府の緊急対策は予算ゼロです。自治体が質と安全確保のため手厚くしている独自基準の緩和を求め、詰め込み保育を奨励しており、子どもたちにとってはマイナスの緊急対策と言わざるを得ません。保育定数を増やそうにも、全産業平均より11万9千円も低い保育士の賃金では人材確保は進みません。

(5)地域エネルギー政策

  • 原子力は過渡的エネルギーであり、原子力に頼らないエネルギー政策を進めていきたいと考えています。
    そのためには、北海道の省エネ・新エネ条例の理念を活かし、省エネの推進、新エネの導入に向けた技術開発、そして地域の資源を活かした自然エネルギーへのシフトを進め、エネルギーの地産地消を拡大したいと考えております。
  • 原発は安全であることが大前提です。多くの市民が不安を感じており、反対する人も少なくありません。福島第一原発事故の原因が未だ解明できていないことで、本当に確実な事故対策が取られているのかという疑問がわき、この段階で再稼働させることへの不安は払拭できていないと考えます。
  • 私は原発事故で札幌に退避してきた方々を支援する活動をしてきました。故郷を追われた方々が事故後5年たった今も、この厚別に大勢おられます。原発の安全性に対する市民の理解が十分得られるまで、まだ相当の時間がかかると思います。

(6)アベノミクスに対する評価と北海道経済への影響、今後の経済政策

  • 雇用労働者の40%にのぼる非正規、33万人に及ぶ奨学金延滞者、消費税の引き上げや負担増・給付減に苦しむ年金生活者、増えない実質賃金やGDPなど体感的にも数値上もアベノミクスのどこが成功なのかと言わざるを得ません。
  • 中小企業や中間層には恩恵が及ばず、大企業や資産家など一部の富裕層に偏っていることが問題で、日本経済の持続的発展のためには、国民全体の所得増加はもとより雇用不安や将来不安の払拭に向け方向転換が必要です。
    中小企業の社会保険料負担の軽減、教育費の公的支出拡大や児童手当を拡充するなど、子ども・若者・女性の暮らしを支え、人への投資を手厚くするべきです。
  • 都市と農漁村との交流促進、地域の交通網の整備促進、石狩湾新港の機能強化について、地域の経済として取り組みます。

(7)消費税増税について

  • 与党は、国会議論抜きに「軽減税率」の導入を決めましたが、1兆円と言われる減収分をどこで補うかについては参議院選挙後まで先送りされました。社会保障・税一体改革のなかで決まっていた「総合合算制度」を見送り、それを軽減税率の財源に充てるためということは、低所得者対策に逆行しています。充実するはずの社会保障政策が実施できなくなるとすれば、なんのための消費増税なのかと怒りを覚えます。
  • 社会保障・税一体改革に対する国民の理解が得られないなら、10%に上げること自体を凍結して、所得税も含めた公平・公正な税のあり方を議論しなおすべきと考えます。
  • 安倍総理は、消費税率アップの先送りを言うのであれば、アベノミクスの失敗を潔く認め、退陣すべきです。

(8)新千歳空港などを軸とする交通網整備への考え方

  • 新千歳空港にとって今後大切なことは、欧米に一番近い空港として直行便を実現することです。そのためには着陸料を引き下げるなどのサービス提供と欧米線をつなぐ国内便の連携も大事になります。
    また中国からの観光客が増えている今、中国航空機の枠の拡大が緊急に必要です。新千歳空港がハブ空港の機能として世界を結び、国内とつながり、道内のネットワークの中心となることが重要です。
    また旭川空港の整備をすすめて新千歳空港との役割分担を決め、北海道観光の拠点として充実させることも必要と考えます。
  • 地域公共交通の活性化と再生の視点が必要です。そのために道内各地域において地域公共交通のネットワークの形成が必要で、自治体の窓口、自治体間のネットワーク形成などを進めていくために努力します。
  • 5区に関わりの深い課題としては、新千歳空港の民営化促進をはじめ、国道337号、275号、231号の整備があります。新幹線の札幌延伸に伴って、その先の道北・道東地域とつなぐ交通ネットワークとして、物流の面でも防災の面でも重要な意味を持つからです。
    併せて、JR札沼線の複線化など地域の交通網の整備をなど、高齢者や通学生などの日常生活を支える地域の公共交通の確保も重要課題だと考えます。
  • バスやトラック運転手の確保も喫緊の課題です。賃金・労働時間の改善は安全輸送の根幹であり、事業者の取り組みをしっかり支える交通政策を実現します。

(9)災害対策と要支援者への対応について

  • 私は防災士として福祉施設のBCP策定や被災者支援に携わってきた経験から、災害時の避難における要支援者の避難行動支援のあり方について、考え方を明らかにしたいと思います。
  • 在宅の障がい者や高齢者、透析患者など避難に支援を必要とする方々には、災害の状況や避難場所などの情報がなかなか伝わりません。災害時において要支援者一人ひとりの避難誘導、避難所での生活支援などを迅速かつ的確に実施するため、誰が支援して、どこの避難所に避難させるかをあらかじめ定めた「避難支援個別計画」を策定しておき、地域ぐるみで支援することが重要です。
  • また福祉施設にいらっしゃる方々の避難も考えなければなりません。東日本大震災後、企業をはじめ福祉施設のBCPを策定するところが増え、事業の迅速な復旧の必要性が理解されてきました。しかしいまその施設が大丈夫でも、今回の熊本地震のように断続的に大きな余震が続くとどうなるか分かりません。一刻も早く避難すべきですが、余震が続く中、施設職員だけで搬送することは難しく、福祉のネットワークで救助に行こうとしても、逆に現地に負担をかける恐れもあります。
    3日以内に避難の必要な要支援者を搬送する手配を広域で実施するよう、政府に要請すべきと考えます。広域避難先として福岡など九州圏内で受け入れ可能施設があれば良いですが、極論すれば北海道、札幌でも可能だと思います。要支援者の搬送は国の責任で行い、受け入れ体制は自治体や施設、人手は社協など福祉のネットワークといったように、役割分担し対応することで実現可能です。余震の危険がある地域に派遣する必要もありません。
  • 医療ではDMATという仕組みがあり、全国的な連携で震災などに対応していますが、福祉分野では、民間や社協などに依存している状態です。熊本地震では、20日時点で避難生活中に亡くなる震災関連死が11人に上っています。東日本大震災でも震災関連死が多数発生しました。このような死を防ぐためには、常設の支援組織を設けるなど、災害福祉の取り組みを政府の責任で充実・強化すべきです。
  • さらに今後は、「地域継続計画(DCP)」や「地域継続マネジメント(DCM)」の普及を進め、企業・住民・行政が協働して、個々の会社や個人だけでは解決できない、ライフラインや交通インフラ等の早期復旧方法の検討、避難場所や避難ルートの整備、災害時の情報発信と共有、効果的で継続的な防災訓練、防災対策のノウハウの共有など、災害に強い地域づくりに取り組むことが求められます。そのことが地域の活力を保ち、地域の産業の継続にもつながると考えます。